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Newtype 進撃の巨人、荒木哲郎監督 インタビュー

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前回紹介した、梶裕貴さんと石川由依さんのインタビューが好評だったので、
今回はNewtype5月号に掲載された、

「進撃の巨人」原作者の諌山創先生

アニメの荒木哲郎監督

のインタビューを紹介したいと思います。

ではまず、荒木哲郎さんから。

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不自由さが生んだ豊かな表現

- もともと、原作コミックをお読みになられていたそうですね。

自分は、この手の日常崩壊ものが大好きなんですが、それで人から「今、いちばんキテる日常崩壊ものだよ」という感じで紹介してもらいまして、まんまともくろみどおりにハマってしまったというか(笑)。
日常崩壊ものの醍醐味は、特殊な状況設定に置かれたことで、人間の本質があらわになり、そこでむき出しの人間性がぶつかり合う… … そのときの火花だと思うんです。

「進撃の巨人」も、とことんまで追いつめられたキャラクターたちが、互いに言ってはいけないことを言ったり、やってはいけないことをやってしまったりするでしょう。
そこがたまらないわけです。それと、何よりも魅力的に感じられたのが、諌山さんの本気度ですね。社会と人間について、真剣に悩んで考えているのがわかる。
自分の中では「覚悟のススメ」にも似たインパクトがありましたね。あのマンガも「ああ、この人は本当に正義を信じているんだ」って思わせてくれるところが好きでした。
そして「セリフがイカしてる」のも、共通する魅力です。言葉選びのセンスがいんでしょうね。自分は、あのイカしたセリフを、生きた人間が目の前で叫ぶのを毎週見れる、という役得に、毎週ひたっているところです。


- 今回、映像化するにあたって、特に留意された点は?

漫画では描く必要がなくて省略されてきたものが、映像では必然的に描写せざるを得なくなるのでプレッシャーでした。
その代表的なもののひとつが、立体起動装置の動きです。実際のところ、あれはどうやって動いているのか。
最初の段階では「これはやんなくちゃいけないから、やろうよ」っていう大変な宿題みたいな感じだったんですけど(笑)
いざ手をつけてみたら、これがすごくおもしろかったんです。

もともと、崩壊した日常の中でのドラマがやりたくて立候補したわけですし、今やってて、いちばんおもしろいのもそこではあるんですが、これはこれで… … 予想外のオモシロを拾っちゃいましたね。
で、いちばんおもしろさを感じたのは、立体起動装置というものが、巨人の弱点であるうなじを切り取ることにのみ特化した道具であるというです。
要するに、とにかく動きの制約が厳しいんですよ。巨人のうなじは、2本の刃を持って、猛スピードで回転しながら、まるで体当たりするように斬りつけないと削ぎ落とすことができない、と諌山さんにうかがっていて。
たとえば、2本ある刃を交互にふってはいけない。それだと巨人は倒せない、と伝えられていたんです。

だから、当初は縛りがキツくて大変かとも思ったんですけど、その自由度の低さが、逆に表現を豊かにしてくれたんです。
回転の必然性から派生して、結果的にエクストリームマーシャルアーツやパルクール、スキーのモーグルといった、プロスポーツの動きに自然と近づいていったんです。
そこから一気におもしろくなってきて、アクション作監の江原(康之)さん、今井(有文)くんといっしょに、実際に棒を持って体を動かしながら
「腰からアンカーが出るなら、もっと腰を突き出したくならない? この勢いで回ってみる?」みたいな議論を繰り返すようになりました。そうやって大体のイメージがつかめてからは、動きの方は、ほぼ彼らにお任せしています。


- どの兵士も同じ装備で戦ってる、という設定も珍しいですね。銃の名手や、斧を振り回すパワーファイターといった差別化がなされていない。

そうなると、あとは個人個人のカスタマイズっていう話になってくると思うんです。
道具そのものの使い方に個人差がある。たとえば、アンカーは2本あったほうがやりやすいって人もいれば、1本でぶら下がるほうが好きな人もいるだろう、と。
もしくは何とかターンみたいな自分の回転スタイルに名前を付けてる人もいるかもしれない。これはやれることが限られているからこそ生まれた発想なんですよ。
不自由なほうがおもしろいということに気づけたのは、自分の仕事歴においても、とても重要なポイントでしたね。


- 巨人についてもうかがいたいですが、彼らの巨大感は、どのように演出されるのでしょうか。現代を舞台にした怪獣映画ならば、われわれの知ってる建物が比較対象物として機能しますが、今回の場合、街以外のバトルステージは、荒野だったり、得体のしれない巨大樹の森だったりするわけですよね。

実際、平原にいるときは、巨大感が出しづらいので、巨大樹の森に関しては、とても簡単なやり方ですけど、常に画面内に標準サイズの木を置いたりしてます。
でも、そういう具体的な方法論はポイントではなくて、究極、カットごとの画づくりで、どれくらい平気で嘘をつくかということだと思うんです。


- 周囲と巨人の対比を、厳密に設定しないということですか?

設定はするけど「縛り」にはしないということでしょうか。去年「特撮博物館」という展示会がありましたよね。
そこで樋口真嗣さんの「巨神兵東京に現わる」… … 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」と同時上映になったりもしましたけど、あれを何度も何度も居残って見ていたんですよ。
昨年最も繰り返し見た映像です。「記憶で絵コンテを描けるくらい」刻む、という目標で見ていましたが、絵コンテは物販で売られていましたので、最終的にはそれを購入しました。
まぁそれで、「上手な嘘のつき方」について、改めて勉強させてもらったんです。あの巨神兵には、とにかく感銘を受けましたし、直近のものとして、大いに巨人の参考にしましたね。

まあ、自分にもともとそのセンスがないからこそ、天才的に上手い先輩の技を付け焼刃でものまねしている、という話ですが。
あと、巨人の描写の際、作画スタッフに「対比表と違うじゃないですか」って言われたとき、「なぜ、それでいいかというと… … 」っていう話の根拠として、よく利用させてもらってました。


- 怪獣映画であれば、どの怪獣もおおよそ50メートルくらいで統一されていますが、巨人には、さまざまな個体差が存在しますよね。ここも難しいところなのでは。

そうですね。実際、そのだまし絵感こそが「進撃の巨人」に漂う不思議さであったり、不安感を生んでいるのではと思います。
それは諌山さんの絵柄にしても同じことで、いわゆるみんなが思う上手な絵ではないんですけど、実はその場で伝えるべき情感を誰よりもうまく伝えてくる、素晴らしい絵だと思います。

たとえば、胴体をひねって斬りかかっている絵だったら、胴体と腰から下が真反対を向いているような絵を描かれるんですね。
これは、いざ描こうとすると、常識が邪魔して、なかなか思い切れないものです。諌山さん自身のパッションから、内的必然から生まれている絵といったものなので、小手先のテクニックではまったくかなわないわけです。
たぶん、普段から気にしてる部分が根本から違うんだと思います。普通の絵の文法でやってきたアニメ人が、いかにこれを置換し得るか、それが試されてる気がしますね。


- 下手すると、「らしさ」が損なわれてしまうんじゃないかと思ったんですが、そうでもなさそうですね。

もちろん、どうしたって諌山さんにしか出せない部分っていうのはあると思うんです。
いや、基本的にそういうものの塊なんですけど、自分という「進撃の巨人」ファンが「このアニメ化はねぇな……」って思うようなものにだけはしない、という目標でがんばっています。
そのために自分がいるのだとすら思ってますから。映像に置き換える際の物理的制約のみならず、放送枠や、スポンサー的事情、今のアニメ状況など、いろんなしがらみをかわして、いかにして最も純粋な形での「進撃の巨人」をオンエアするか。それをアニメの現場を知るファン代表の自分がやっている、という感じです。

ちゃんと怖いものになっているのか、原作どおりなのか違うのか、いろんな懸念があると思うんですけど、少なくとも作業してる側はおもしろいです。
今までやってきた作品でいちばん楽しんでる。なんというか、やってる人の顔つきがちがうんですよ。自分も含めて、みんなこういうのがやりたかったんだな、と。本気で踏み込んだ人間ドラマを、ですね。ぜひ、期待してください。

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以上です。

なんと言うか、さすが荒木監督、って感じです。

立体起動装置の動きへのこだわりなど、さすが、ですね。

そのこだわりが、映像にはっきり表れていると思います。


さすがに長くなりましたので、皆さん気になるであろう、
諌山創先生のインタビューは、また次回に紹介したいと思います。

お楽しみに!

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