Newtype 進撃の巨人 諌山創インタビュー 打ち切り覚悟だった!?
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昨日に引き続き、Newtype 5月号より、
進撃の巨人の原作者、諌山創先生のインタビューを紹介します。
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巨人の原点は「地獄先生ぬ~べ~」 !?
- 月並みですが、まずはアニメ化が決まったときの率直な感想から。
「やっぱり不思議な気持ちというか、事が大きすぎて把握できないというか… なかなかないことだと思うんです。
だって、すぐに打ち切られると思いながら描いてたマンガですから(笑)。普通、(主人公と大勢の仲間たちが)戦場に行きます、という話だったら、その前にサブキャラクターを掘り下げるべきだと思うんです。
でも、それをやってるうちに打ち切られそうだったから、そういう描写をいっさい省いて、どんどん話を進めていったんです。
- それでときおり、過去編みたいなエピソードが入ってくる構成になってるんですね。とりあえず、巨人と戦わせたかったと(笑)。
「ええ。どうせ打ち切られるなら、少しでも読者の記憶の中に嫌な気持を残してやろう、という道連れみたいな発想ですね(笑)。
だから、今回のアニメでは、そこを整理して時系列順に整理していくことになります」
- ある種、ディレクターズカット版みたいな趣(おもむき)もあるんですかね?
「そうですね、当時23歳のド新人が描いたものを、そのままアニメにするわけにもいかないよな、と。
あと、キャラクターの初登場シーンで、自己紹介的な演出をまったくやってこなかったんですよ。
どういうヤツなのか、最初にバーン!と提示しなきゃいけないのに、いつの間にか名前がついていました… みたいなジンワリした感じのが多かったので(笑)。そういう部分も足していただいてます。
- 映像面においては、どういった点に期待されていますか?
「やっぱり立体起動装置の動きや音ですね。アニメーション的な快楽って言うんですか?
荒木(哲郎)監督は、自分が思ってるよりも立体起動装置の動きをカッコいいと思ってくださってるみたいで、こちらの想像をはるかに超えるものになってました。
で、また絵も安定してるじゃないですか。『 原作者の頭の中では、こうなってたんです! 』 と言いたいくらいうれしいです(笑)。
- 巨人のアニメーションはいかがでしたか? マンガを読む限りだと、かなり俊敏に動くこともできるみたいですけど、かといって速すぎても巨大感を損なってしまいそうで…。
「ええ、だから(映像化するのは)難しそうですよねぇ。イメージに近いのは、『 ヘルボーイ / ゴールデンアーミー 』 っていう映画に出てくる、緑の巨人みたいなヤツが良かったんです。
一見、ゆっくり動いているようなんだけど、近づいてみると、実はものすごく速い。あれはすごい巨大感でした。
あと、『 トロール・ハンター 』 という モキュメンタリーに出てくるトロールにも、原初的な怖さが… 僕、この手のモキュメンタリーが大好きなんです。(中略)」
- やはり受け手に回った際も「恐怖」が重要なポイントなんですね。巨人の純粋無垢な表情なんて、エポックメイキングなクリーチャー造形だったと思います。あれは本当に気持ち悪いし、怖いですよ。
「ここにきて、ちょっとやり尽くしちゃった感があるものの(笑)、巨人の怖さは、最初から一貫してこだわってきました。
最近になって、「地獄先生ぬ~べ~」に出てきた人食いモナリザ(がイメージソース)だったと気づいたんです。
- 絵から抜け出してきたモナリザが、大口を開けて襲いかかってくるシーンがとても印象的なエピソードですよね。
「モナリザの、あの笑ってるようで暗いような表情がまた怖いんですよ。
『 ジュラシック・パーク 』 も同時期だったと思うんですけど、恐竜の歯は肉を食べるための歯… 牙じゃないですか。
だから、人間を食べるのも理解できるんです。でもモナリザの場合、写実的に描かれた人間の歯がずらっと並んでて、そこに生理的嫌悪というか生物的なタブーを感じまして、それがすごく怖かったんだと思います。こいつにかまれたら、楽に死ねないなと」
- その恐怖のイメージが、記憶の底に眠っていて、知らず知らずのうちに巨人デザインに影響を与えていたんでしょうか?
「そういうことなんでしょうねぇ。超大型巨人に関しては、畏怖の対象みたいな印象を持っていただきたかったんですけど、ほかの巨人は、とにかく怖い感じにしたくて。
それで表情も(モナリザのように)何を考えてるのかわからない感じにしたんです。
怖がらせる手段として、ついつい目をとがらせたり凶暴にしがちなんですけど、それよりも楽しそうだったり、うつろだったり、悲しそうだったりする方が怖いと思うんですよ。
だから巨人は、斬られても殺されても何をされても表情を変えないんです。巨人って、よく無表情だって言われるんですけど、
実はそうじゃない。ある一つの感情をずっと浮かべているんです。でも、どれが無表情に見えるという…。
- なるほど。もっとストレートに、怪獣映画から影響を受けたりは?
「当然あると思います。平成 『 ガメラ 』 や 『 モスラ 』 シリーズに連れて行ってもらったり、保育園でも恐竜の落書きばかりしてたり、そのころから、デカいものが好きだったみたいです(笑)。
- ちなみに永井豪さんの「魔王ダンテ」というマンガを読まれたことはありますか? 怪獣のような巨大悪魔に食われた少年が、逆に悪魔の意思を乗っ取るというお話なんですが。
「読んだことはないですね。永井先生の作品で言えば、『 デビルマン 』 のような、敵の力を身につけてどうこうっていうのは、僕も結構好きなんですよ。
まぁ、『 デビルマン 』 を読んだのも、わりと最近のことなんで、『 進撃の巨人 』 と関係あるのかというと怪しいんですけど。
その嗜好(しこう)は、きっと何かを見たり読んだりして、そこからの影響だと思うんですよね。
きっと何かの… あっ、『 ぬ~べ~ 』 か !? ぬ~べ~も、鬼の力を使って戦いますもんね? 結局、これも 『 ぬ~べ~ 』 なのかぁ。お前、どんだけ好きなんだよ! って感じですね(一同笑)」。
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以上です。
長くなるのでひとつひとつは触れませんが、興味深い話が満載ですね。
すぐに打ち切られるだろうと思いながら描いていたと言うのは、
新人作家ならではの感情なんでしょうね。
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昨日に引き続き、Newtype 5月号より、
進撃の巨人の原作者、諌山創先生のインタビューを紹介します。
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巨人の原点は「地獄先生ぬ~べ~」 !?
- 月並みですが、まずはアニメ化が決まったときの率直な感想から。
「やっぱり不思議な気持ちというか、事が大きすぎて把握できないというか… なかなかないことだと思うんです。
だって、すぐに打ち切られると思いながら描いてたマンガですから(笑)。普通、(主人公と大勢の仲間たちが)戦場に行きます、という話だったら、その前にサブキャラクターを掘り下げるべきだと思うんです。
でも、それをやってるうちに打ち切られそうだったから、そういう描写をいっさい省いて、どんどん話を進めていったんです。
- それでときおり、過去編みたいなエピソードが入ってくる構成になってるんですね。とりあえず、巨人と戦わせたかったと(笑)。
「ええ。どうせ打ち切られるなら、少しでも読者の記憶の中に嫌な気持を残してやろう、という道連れみたいな発想ですね(笑)。
だから、今回のアニメでは、そこを整理して時系列順に整理していくことになります」
- ある種、ディレクターズカット版みたいな趣(おもむき)もあるんですかね?
「そうですね、当時23歳のド新人が描いたものを、そのままアニメにするわけにもいかないよな、と。
あと、キャラクターの初登場シーンで、自己紹介的な演出をまったくやってこなかったんですよ。
どういうヤツなのか、最初にバーン!と提示しなきゃいけないのに、いつの間にか名前がついていました… みたいなジンワリした感じのが多かったので(笑)。そういう部分も足していただいてます。
- 映像面においては、どういった点に期待されていますか?
「やっぱり立体起動装置の動きや音ですね。アニメーション的な快楽って言うんですか?
荒木(哲郎)監督は、自分が思ってるよりも立体起動装置の動きをカッコいいと思ってくださってるみたいで、こちらの想像をはるかに超えるものになってました。
で、また絵も安定してるじゃないですか。『 原作者の頭の中では、こうなってたんです! 』 と言いたいくらいうれしいです(笑)。
- 巨人のアニメーションはいかがでしたか? マンガを読む限りだと、かなり俊敏に動くこともできるみたいですけど、かといって速すぎても巨大感を損なってしまいそうで…。
「ええ、だから(映像化するのは)難しそうですよねぇ。イメージに近いのは、『 ヘルボーイ / ゴールデンアーミー 』 っていう映画に出てくる、緑の巨人みたいなヤツが良かったんです。
一見、ゆっくり動いているようなんだけど、近づいてみると、実はものすごく速い。あれはすごい巨大感でした。
あと、『 トロール・ハンター 』 という モキュメンタリーに出てくるトロールにも、原初的な怖さが… 僕、この手のモキュメンタリーが大好きなんです。(中略)」
- やはり受け手に回った際も「恐怖」が重要なポイントなんですね。巨人の純粋無垢な表情なんて、エポックメイキングなクリーチャー造形だったと思います。あれは本当に気持ち悪いし、怖いですよ。
「ここにきて、ちょっとやり尽くしちゃった感があるものの(笑)、巨人の怖さは、最初から一貫してこだわってきました。
最近になって、「地獄先生ぬ~べ~」に出てきた人食いモナリザ(がイメージソース)だったと気づいたんです。
- 絵から抜け出してきたモナリザが、大口を開けて襲いかかってくるシーンがとても印象的なエピソードですよね。
「モナリザの、あの笑ってるようで暗いような表情がまた怖いんですよ。
『 ジュラシック・パーク 』 も同時期だったと思うんですけど、恐竜の歯は肉を食べるための歯… 牙じゃないですか。
だから、人間を食べるのも理解できるんです。でもモナリザの場合、写実的に描かれた人間の歯がずらっと並んでて、そこに生理的嫌悪というか生物的なタブーを感じまして、それがすごく怖かったんだと思います。こいつにかまれたら、楽に死ねないなと」
- その恐怖のイメージが、記憶の底に眠っていて、知らず知らずのうちに巨人デザインに影響を与えていたんでしょうか?
「そういうことなんでしょうねぇ。超大型巨人に関しては、畏怖の対象みたいな印象を持っていただきたかったんですけど、ほかの巨人は、とにかく怖い感じにしたくて。
それで表情も(モナリザのように)何を考えてるのかわからない感じにしたんです。
怖がらせる手段として、ついつい目をとがらせたり凶暴にしがちなんですけど、それよりも楽しそうだったり、うつろだったり、悲しそうだったりする方が怖いと思うんですよ。
だから巨人は、斬られても殺されても何をされても表情を変えないんです。巨人って、よく無表情だって言われるんですけど、
実はそうじゃない。ある一つの感情をずっと浮かべているんです。でも、どれが無表情に見えるという…。
- なるほど。もっとストレートに、怪獣映画から影響を受けたりは?
「当然あると思います。平成 『 ガメラ 』 や 『 モスラ 』 シリーズに連れて行ってもらったり、保育園でも恐竜の落書きばかりしてたり、そのころから、デカいものが好きだったみたいです(笑)。
- ちなみに永井豪さんの「魔王ダンテ」というマンガを読まれたことはありますか? 怪獣のような巨大悪魔に食われた少年が、逆に悪魔の意思を乗っ取るというお話なんですが。
「読んだことはないですね。永井先生の作品で言えば、『 デビルマン 』 のような、敵の力を身につけてどうこうっていうのは、僕も結構好きなんですよ。
まぁ、『 デビルマン 』 を読んだのも、わりと最近のことなんで、『 進撃の巨人 』 と関係あるのかというと怪しいんですけど。
その嗜好(しこう)は、きっと何かを見たり読んだりして、そこからの影響だと思うんですよね。
きっと何かの… あっ、『 ぬ~べ~ 』 か !? ぬ~べ~も、鬼の力を使って戦いますもんね? 結局、これも 『 ぬ~べ~ 』 なのかぁ。お前、どんだけ好きなんだよ! って感じですね(一同笑)」。
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以上です。
長くなるのでひとつひとつは触れませんが、興味深い話が満載ですね。
すぐに打ち切られるだろうと思いながら描いていたと言うのは、
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